【基軸通貨】 サルでもわかる通貨の種類 【ハードカレンシー】

通貨には大きくわけて3つの種類があります。



1つ目は、通貨界のキングオブキングスの基軸通貨キー(鍵)カレンシー(通貨)です。
文字通り、基軸になるような通貨です。

2つ目は、ハード(堅い)カレンシー(通貨)です。
これは、日本語では国際決済通貨と言います。
国際的な取引や決済に使えるほど信用力の高い通貨です。

3つ目は、ローカルカレンシーです。
基軸通貨とハードカレンシー以外の、その他諸々の通貨です。
これは、ハードカレンシーほどの信用力がないので、決済には使われにくいです。


基軸通貨とは

基軸通貨(キーカレンシー)とは、国際的な取引で広く使われている通貨です。
世界で一番使われていて、信用力が高い通貨です。
(なので、基軸通貨は世界で一つしかありません)

現在の基軸通貨はドルです。
第二次大戦前までは、英国ポンドが基軸通貨でした。

でも、第二次大戦後にイギリスがダメになり、アメリカが強大な力を得てからは、イギリスに変わってアメリカが基軸通貨になりました。

基軸通貨はここがすごい

ところで、どうして基軸通貨が、世界で一番使われていて、一番信用力が高いのかと言うと、基軸通貨を発行している国が、経済的・軍事的・金融的に最もパワフルだからです。


通貨の暴落がない

新興国で時々見られるような通貨の暴落が基軸通貨でも起こってしまうと、基軸通貨を持っている国や人々や会社が大損害を受けてしまいます。
なので、基軸通貨はちょっとやそっとでは暴落しない安定した通貨であることが大事です。


どこでも換金・どこでも取引

基軸通貨は世界中で広く使われていて、その通貨の発行量と流通量もとても多いので、どの国でも取引しやすいです。
マイナーな通貨であっても、ドルであれば交換しやすいです。


戦争で被害を受けにくい

戦争で被害を受けて、基軸通貨の発行している国がぐっちゃぐちゃになってしまうと、基軸通貨の信用力が落ちます。
最悪の場合、基軸通貨の発行母体の国自体が攻め滅ぼされてしまうことも。

また、軍事的に強大な国でないと、世界から相手にしてもらえません。
とびきりの信用力と、とびきりの財産のある国ならば、ハードカレンシー程度にはなるでしょう。

でも、軍事的に飛び抜けているボス猿の発行している通貨でないと、各々の国が、その時自分が決済したいと思っているハードカレンシー(国際決済通貨)で適当に取引してしまう可能性が高くなります。
(金融緩和やドルの取引量が減って、ドルの価値がジワジワ下落していく場合は、基軸通貨であっても、徐々に価値がなくなっていくドルで決済するのは嫌がられます)


財力がものすごい

基軸通貨を発行している国がとんでもない貧乏国だった場合、その国の通貨を使うのは不安になります。
なぜなら、その基軸通貨を持っていても、紙くず同然になる可能性が高くなるからです。

お金は(特にお札は)、ただの印刷した紙ですから、実はそれ自体に価値はあんまりありません。

でも、何故かお金には価値があります。
なぜなら、そのお金の価値は、そのお金を発行した国が保証しているからです。

でも、とんでもない貧乏国の場合、どう考えてもその保証が守られない可能性が高くなります。
そんな国の通貨は誰も持ちたがりませんから、世界で一番決済に使われる基軸通貨にはなりえません。


たくさん稼ぐ・たくさん産み出す

基軸通貨になったは良いものの、その国に元からあった財産を食いつぶしたら、あっと言う間にその国が終了なのが目に見えている場合、そんな老い先短い国の通貨は誰も持ちたがりません。
また、決済用の通貨としても使いたがりません。

なので、基軸通貨の発行国は、たくさん稼ぎ、たくさんの物を生み出す国でないといけません。


為替・株・先物などの市場がすごい

基軸通貨は世界で一番使われる通貨なので、世界中の人、物、食べ物、サービス、金融などなどの取引用の通貨として利用されます。

なので、基軸通貨の発行している国は、世界でも有数の 『 取引しやすく取引量が多い市場 』 『様々なものを取引できる市場 』 『 世界に開かれた市場 』 を持っている必要があります。


ハードカレンシー(国際決済通貨)とは

ハードカレンシーとは、世界に数多ある通貨の中でもとびきり信用力が高く、国際的な取引の場で使うことができる通貨のことです。

先ほどの基軸通貨ほど広く大量に使われていないものの、信用力は高いので、ハードカレンシーは安心して取引に使えます。

ハードカレンシーとして認められているのは、日本円・英国ポンド・スイスフラン・ユーロ・アメリカドル5つしかありません。
ハードカレンシーでいると言うことは、それくらい敷居の高いことなのです。

ハードカレンシーの名前のハードと言うのは、『 堅い 』 と言う意味です。
この場合の堅いとは、『 金貨 』 の意味です。
つまり、いつでも金貨と交換できるほど 『 信用力のある通貨 』 と言う意味です。

カレンシーと言うのは、『 通貨 』 と言う意味です。
先ほどのハードと言うのと合わせると、『 堅い(金貨)通貨 』 と言う意味になります。

昔は実際に、ハードカレンシーの国は通貨と金(きん)を交換していたのですが、現在は、ほとんどの国でその制度(金本位制)はなくなってしまいました。
(詳しくは、【金備蓄の危機】金本位制の光と影 を御覧ください)

ですので、ハードカレンシーの通貨を『 金(きん) 』 に交換するために、その国の政府に持ち込んだら、その国の政府が必ず金(きん)と交換してくれると言うわけではなく、ハードカレンシーのハードは、あくまでも 『 モノの例え 』 として使われています。

ハードカレンシーの条件と基軸通貨の条件はかぶる点が多いのですが、ハードカレンシーの方は、取引や決済に使えるくらい信用力があって、その信用力の元になるくらいの財産があって、ずっとその財産を維持できるほどの生産力があって、金融や商品の取引が容易と言うだけでOKです。

基軸通貨のように、世界一の軍事力は必要ありません。
『 国を維持する程度のそこそこの軍事力 』 があればOKです。


ローカルカレンシーとは

ローカルカレンシーとは、『 ハードカレンシー以外の通貨 』 のことです。
信用度が今ひとつだったりゼロだったりして、決済や取引用の通貨としてはなかなか利用されない通貨です。

ローカルカレンシーにも色々ありまして、場合によっては直に取引してもらえることもあります。

特に、特に国力や取引量や信用力が高めのローカルカレンシーであれば、ローカルカレンシーでも取引に応じてもらえることもあります。
(原油・ガスの取引でロシアの通貨のルーブルで取引したり、資源購入や公共事業で中国の通貨の元で取引したりと言ったことです)

でも、普通は基軸通貨のドルを間に挟む形で取引することが多いです。

例えば、マイナーな通貨Aとマイナーな通貨Bは両方とも信用力が少ないので、じかに取引しにくいですが、マイナーな通貨Aとドルを交換し、そのドルとマイナーな通貨Bを交換する形にすると交換しやすいです。
(信用力の高く、取引量の多い基軸通貨を間に挟む)



アメリカの赤字とドルの拡大

アメリカドルが世界中で広く使われるようになるためには、アメリカドルが世界中に行き渡らないといけません。

世界中にアメリカドルを行き渡らせるためには、アメリカでつくられたアメリカドルを世界の国々に渡さないといけません。

例えば、アメリカがサウジアラビアから原油を買い、その代金としてアメリカドルをサウジアラビアに渡します。
すると、サウジアラビアにアメリカドルが渡ります。



そうやって、アメリカが世界中の国から物やサービスを買い、その代金としてアメリカドルを渡すことで、アメリカドルが世界中に広まるのです。

でも、それは逆の見方をすると、アメリカからアメリカドルがドンドン流出していくと言うことになります。
つまり、アメリカから富が出て行ってしまうと言うことです。

普通の国でそれをやると、その国は次第に貧しくなって潰れてしまうのですが、アメリカのような基軸通貨を発行している国だけは、例外的にそれをやれます。

と言うか、世界中でアメリカドルが使われるようになるためには、苦しくてもそれをやらないといけません。

世界で流通する基軸通貨の量が減ってしまい、アメリカドルの価値が高くなりすぎてしまうと、まだ発展間もないヨチヨチ歩きの国や、潰れかけの貧乏な国では、決済や取引に使うアメリカドルを得ることが難しくなってしまいます。



ですので、アメリカはたとえ赤字で苦しくても、世界中から物やサービスを買ったり、援助金を渡したりして、世界中にドルを供給し続けないといけません。


アメリカの軍事力の低下と基軸通貨

アメリカは強大な軍隊を持っています。
なので、アメリカがじかに攻撃されることはほとんどありません。
(テロくらいのものです)

しかも、核兵器もたくさん持っていますので、自分の国に核攻撃を仕掛けられたら十二分に仕返しできるので、誰もアメリカに核攻撃をしません。

なので、アメリカは、ほとんどの国で安定して経済・金融・貿易などの取引や決済活動をすることができます。

でも、アメリカの軍事力が低下したり、アメリカの軍事力を維持できるだけのお金が無くなってしまった場合、基軸通貨のドルは使わない国も出てきます。

つまり、不愉快な目の上のたんこぶであるアメリカとアメリカの愉快な仲間たちは除外して、それ以外の国々でブロックを作って、その中でドル以外の基軸通貨を使い、経済・金融・貿易などの取引や決済活動をやる国が出てくる可能性があります。



それがほんの一部の国に留まっている場合はいいのですが、その動きが広く世界中に広がってしまった場合、ドルを必要としている国・会社・人が減ってしまい、ドルの価値は暴落してしまう可能性があります。

そのようなわけで、アメリカドルが基軸通貨であり続けるためには、アメリカはアメリカドルを世界中に流通させるべく、赤字を垂れ流しながら頑張り、さらに世界一の軍事力を維持するべく頑張る必要もあります。
(個人的には、ハードカレンシー程度でぬくぬくしているくらいが、一番居心地よいのではないかと思います。(;´∀`))


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