【裏話】 ドイツの悲劇とフランスの赤字

第一次大戦は、かなり大規模な戦争でした。その為、第一次世界大戦の中心として戦った「ドイツ」「フランス」「ロシア」「イギリス」などの国は、総力を挙げて戦ったのでした。

そんな総力戦が、各国に戦後もたらしたのは、多額の借金と体の傷ついた負傷兵とボロボロになった国土でした。大した傷を負わずに大儲けをしたアメリカなどと比べ、ヨーロッパ諸国は、第一次大戦によって、大変な重荷を背負うこととなりました。

【戦争には勝ったけど】 フランスの大赤字

フランスは、第一次世界大戦の戦勝国でした。それにもかかわらず、フランスはイギリスから莫大な借金を受けており、返済できずに困っていました。

フランスは、戦費に充てた費用をイギリスから調達していたのです。
イギリスはイギリスで、厳しい財政事情の中、返してもらえないと非常に困るお金だったのですが、フランスだって返せなかったのです。

フランスの国土は戦争で荒れ果てていましたので、さらに復興の為のお金も必要でした。しかも、命を懸けて戦った退役軍人にも、お金を支払わなければなりません。
さらにひどいことに、フランスは税収が大きく落ち込んでいたので、税収も期待できません。

もう、どこからも借金が出来ず、支払わなければならないお金は山ほどあるのに、税収は大幅ダウンの状態で、フランス政府のできることといったら、輪転機を回して、お金を刷ることぐらいです。
しかし、お金を刷ったら刷ったでさらに通貨が下落してしまい、金が国外に流出してしまうので、状況は悪化するばかりでした。


【ルール地方占領】 そうだ、ドイツに払ってもらおう!

フランスがこんな極限状態の中、どこからお金を取れるかというと、敗戦国のドイツぐらいしかありませんでした。しかし、そのドイツだってフランスとは似たり寄ったりです。
国土は破壊され、生産能力は落ちていましたし、税収だってスズメの涙です。

しかし、フランスがお金を手に入れるにはドイツに支払ってもらうしか方法がありませんでした。そこで多額の賠償金をドイツに要求し、金貨(正金)をドイツから手に入れて、一気に金本位制を建て直して再起をかけようとしたのですが、これがそもそもの間違いでした。

ドイツには、支払うお金なんてどこにも無かったのです。
(この当時のフランスがドイツに要求していた金貨が、フランスにとっていかに大切であったのは、当時のフランスが金本位制をとっており、通貨が下落してしまっていた状態から見るとよくわかります)

【金備蓄の危機】金本位制の光と影


そこでフランスはルール工業地帯を占領したのですが、その結果、かえってフランスは戦費が嵩んでしまい、自分で自分の首を締める事になってしまったのでした。


【大逆転】 フランスの復活

今にも沈没しそうなフランスへ、J・P・モルガン商会が多額の融資をしました。
これは2度も行われたそうです。

しかしながら、フランスへ渡ったお金は「譲渡」されたものではなく、「融資」されたものだったので、フランスは満期が来るとJ・P・モルガン商会にそのお金を返さなければならなくなります。
結局は元の木阿弥の中で苦しんでいたフランス。

ところが、そこに思わぬ救世主が現れます。
ポアンカレの登場です。ポアンカレが画期的な政策を打ち出したことで、再び金がフランスへ戻ってきたのです。ポアンカレが打ち出したその画期的な政策とは・・・

金持ちからとる所得税を減らし、一般大衆から取る消費税を引き上げた

・・・ということです。
一時的な大ショックがフランスのフランを襲い、フランはドルに対して三分の一にまで価値を下げてしまいました。しかし、ここでフランスから海外へ逃避させていた人々の資金がフランスに戻ってきたのです。その後のフランはというと、ジワリジワリと値を戻し続け、ついに金本位制を完全に回復することに成功したのでした。(めでたしめでたし?)

現在のタックスヘイブンの国にも、恐らく巨額の富が流れ込んでいるものかと思います。
そういえば○ワー投信も、確かケイマン諸島・・・。
ま、何にせよ・・・

富は奪い取ることを考えるのではなく、引き寄せることを考えた方が、より多くの富を集めることが出来るのかもしれません。

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