【金が出た!】 ゴールドラッシュについて

ヨーロッパでは昔から、金の採掘は国が奴隷を使って採掘していました。
ですので、一般庶民が「金鉱に入って勝手に金を採掘し、見つけた金を自分の物として売りさばく」なんて考えることすら出来なかったのでした。

しかし、時は流れ「新大陸」(ヨーロッパ人から見ると)の国の人々が野放図に生活していたという特殊な時代背景の下、「ゴールドラッシュ」という、摩訶不思議な現象が起こりました。

【金が出た!】 ゴールドラッシュ in アメリカ

1848年、アメリカのカリフォルニアのサクラメントで「金」が発見されました。
サクラメントは、金が発見されるまでは非常に静かな場所でした。

しかしながら、ひとたびゴールドラッシュが始まると、その地域の人々までが嬉々としながら金鉱を訪れ、アメリカ全土からやってきた人々も金鉱でドンドン金を採掘して行ったのでした。

サクラメントのゴールドラッシュで一番最悪だったのが、アメリカ全土から集まった人々が、半ば烏合の衆と化し、その土地のあるとあらゆるものを盗み取り、その土地は発展が望まれる静かで平和な地域から、ゴールドラッシュの起きた他の地域のように、物騒で混沌とした地域に変貌してしまったという事です。(元々その地域に住んでいて、後に「巻き添えを食った可哀想な地元住民」として有名になる「ヨハン・サッター」の物語は、有名なお話です)


【金が出た!】 ゴールドラッシュ in オーストラリア

オーストラリアは元々イギリスの流刑地でした。
つまり、犯罪者が「島流し」にされる場所だったのです。

しかしながら、オーストラリアでひとたび「金」が発見されるや否や、大勢のイギリス人が一攫千金を求めて、オーストラリアに訪れました。
このオーストラリアでのゴールドラッシュによって、たくさんの金が採掘されました。

そして、イギリスから大量に押し寄せた人々は、金を採掘して売りさばくことによって、あたかも「貴族」のような暮らしぶりになりました。
また、何よりもオーストラリアが「流刑地でなくなった」という大きな変化をもたらしました。


【金が出た!】 ゴールドラッシュ in 南アフリカ

南アフリカでゴールドラッシュが起きた時は、アメリカやオーストラリアで起こったそれとは、かなり異質なものとなりました。それは、金鉱の鉱石に含まれる金の量が、他の地域と比べるとかなり低かったのが影響していました。

かなりたくさんの鉱石を水でさらってみたところで、ほとんど金が取れないのです。
ですので、南アフリカで金を採掘するためには技術的な発展が必要だったのです。
それは、シアン化合物の水溶液に金鉱石を入れてかき混ぜ、数時間後にその上澄み液だけを流しだし、さらに金を分離するために「亜鉛」を加える・・・というものでした。

この方法で、今まではさほど金の含有量が高くなく、金が取れないと思われていた鉱石から、大量の金を取り出すことが可能となったので、南アフリカでの金の採掘量は、飛躍的に向上しました。


【金だらけ】 ゴールドラッシュが経済に与えた影響

ゴールドラッシュによって、たくさんの金が市場に供給されるようになりました。このことは、「金価格の大幅な下落」という副産物を生み出しました。

各国はジャブジャブになってしまった「金」の使い道に憂慮することになってしまったのでした。
結局は「貨幣」として金を使用してしまえばよい・・・と言う結論に達し、膨大な金は、「金貨」へと姿を変えたのでした。しかし、これにも「インフレ」という落とし穴が待っていたのです。

インフレを沈静化するために、今度は流通している金貨を国庫に貯蔵しなければならない・・・という皮肉な事態を引き起こしてしまいます。
しかし、この国庫に貯蔵された「金」は、望むときにはいつでも金を交換してもらえるという「金本位制」の重要な原動力である「金準備」の素地を生みます。

ゴールドラッシュも様々な見方があるかとは思いますが、その後に、長く続いた金融制度である「金本位制」の基礎を作ったという点では、かなり評価できるような気もします。

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