【日本的】 配当金と企業価値 【株式会社】

株式会社は、事業を行うことによって日々利益を上げています。
株式会社は株式を発行することで投資家からお金を借りていますので、その利益分から配当金を捻出します。(そうでなければ、銀行に預けたり債券にお金を投資したほうが、利回りから考えると有利になってしまい、投資家の足が株式から遠ざかってしまいます)

ところが、会社が利益を利用するのは、何も配当だけではありません。
会社は、利益を再投資して設備投資をしたり、新商品の開発をするためにお金を消費することにも利用するのですので、利益から配当金を捻出するための比率が高ければ高いほど、再投資に回されるお金は減ってしまうというわけです。

【配当】 アメリカの配当事情 【タップリ】

アメリカは日本に比べると、非常に配当利率が高いです。
ピーター・リンチの株式投資の法則―全米No.1ファンド・マネジャーの投資哲学という本にも、日本よりもはるかに高い配当利率のアメリカ株の状態が書かれてあります。

ただ、利益の中から配当に回す率が高くなりますので、その分再投資がおろそかになる可能性がありますので、気がついたら、いつの間にか設備が老朽化していて、競争力が落ちて配当を支払えない会社に転落してしまっていた

・・・ことにならないように、気をつけておかなければならないと思います。
ちなみに、アメリカでも好業績なのに無配の会社は存在します。

配当を出す代わりに配当金として支払われる分を再投資に回して、企業を価値を高める事(株価を上げる事)によって株主に利益を還元するという会社です。私は配当が欲しい人間ですので、ついつい配当金に目が行ってしまいがちになりますが、再投資に回されることによって企業価値が上がるのであれば、それでも良いような気がします。


※ 補足 ※
はっぴいえんどさんより、「再投資に必要な資金を増資によって得られるので、配当を支払ったからと言って、必ずしも設備投資にお金を回せないわけではない」とのご指摘を頂きました。確かに増資によって設備投資にお金を回して再投資を行うことで、設備の老朽化などを避けることは可能ですので、この点につきまして、一部補足説明を追加させていただきました。

(ただし、短期的に見ると、一株当たりの価値(利益)が減ることによって、株の割安性が薄れてしまいますので、増資をするということが売り材料として扱われ、株が大きく売られてしまい、既存の株主が損失を被る可能性もあるかとは思います)


【配当】 日本の配当事情 【チョッピリ】

日本は配当が低めです。
昔は日本株の多くが「持合い」という形で、金融機関などによって保有されていました。
金融機関は、基本的に多額の配当を得たがりませんので、配当金に関してはほぼ放置状態でした。

ですので、企業は利益の多くを再投資に回すことが可能でした。
日本は、国際的に見ても高い競争力を持った会社が数多く存在する「キラ星」のような国家です。この国際的な競争力が維持できたのも、持ち合い株によって設備の再投資などが行えたという事情もあったのではないかと思います。(これだけではないと思いますが・・・)

アメリカ型の配当タップリの企業と比べるといささか地味ではありますが、大きな目で見ると、配当利率が低いという「日本的株式」のあり方も悪くないように思います。


【ハゲタカ大量来襲】 利益を現預金で持ち続ける悲劇

利益を上げて配当や再投資に回されると、利益分のお金は減っていきます。ところが、再投資もしないし配当として株主に還元しなければ、利益分の金額は温存され、貯蓄されます。

実は株式の世界では、この貯蓄が曲者なのです。
何故なら、タップリと貯蓄がある場合、大量の資金を持っている機関投資家に株式を買い占められてしまい、事実上会社を乗っ取られてしまい、無理やり現預金を配当金として吐き出させられたり、無理やり再投資に回されて企業価値を高めた後、転売されて、揉みくちゃにされる可能性があるからです。

ですので、いざというときの為にたらふく貯金をキープしておこうなどと考えて、現預金をタップリと持っていると、ハゲタカ大量来襲で悲劇的展開を迎えることがありますので、充分に注意が必要であると思います。


次ページ

【ちょっぴり】配当について【たっぷり】

前ページ

【昔は】 額面主義を語る 【良かった】

広告