寒いシャブシャブ
身も凍るような冬のある日、私は百貨店の商品券をプレゼントされたので、普段スーパーでは手に入らない高級食材をGETしに高島屋に行った。何せ百貨店で手に入れる食材なんである。特別なものを買わねばという強い信念から、丹念に高島屋の食品売り場を回り、百貨店ならではの食材を探した。
そんな中私の目に留まったのは、様々な種類の肉を売ってある「お肉売り場」であった。シャブシャブ肉やすき焼き肉などの用途別のお肉でも何種類もある。
つまり、霜降りの多いものから少ないものまで様々な種類のお肉が売ってあるのである。
せっかく百貨店の商品券をGETしたのである。
これはもう、飛び切りよいお肉を買わねば!
そのようなわけで、値段が高いので買うとは言ってもチョビットではあったが、シャブシャブ肉の中でも特にサシの多そうな肉を購入。いそいそと帰宅したのであった。
そうして帰宅後にシャブシャブの準備をした。
肉がチョビットなんで、とにかく野菜タップリのシャブシャブである。
しかし、未だかつて無いサシのタップリ入ったお肉を前に、かなりご機嫌で食卓についた。
そして肉を皿に盛り、いよいよ昆布ダシの鍋に入れようとしたその時、
ガバーーッ!!!
・・・と、何者かがシャブシャブ肉を奪い去った!
よく見るとうちの犬である。
私は思わず、
「あーーーーっ!!!!!」
・・・と叫び、慌てて犬の口から肉を奪取しようと試みたが、もうすでに後の祭り。
うちの犬は、
ゴックン
・・・と、のどを鳴らして飲み込んでしまったのだった。
その後、うちの犬は「おいしかったがな〜」と言わんばかりに、口の周りをペロペロ。この惨劇の後に、野菜だらけのシャブシャブを食したのは言うまでも無い。そのようなわけで、その日のシャブシャブは、これまでに無く寒いシャブシャブとなったのだった。
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