拡大する畑

我が家には、年金生活者の母がいる。
母は不出来な娘の私とは違い、元キャリアウーマンであった。
しかも母はAB型の人間である。

その為、何かにつけて頭脳明晰でメチャメチャひらめくのである。
料理に関しても、いかにもAB型らしく必ずアレンジを忘れない。

そんな母は、畑仕事に関しても大いにひらめくのである。
しかもどんどんひらめくのである。
例えば、ハーブの地下茎が伸びてゴチャゴチャになってるし、ハーブ園自体も少々手狭だな・・・と思ったら、元々生えていた山椒の木を植木鉢に植え替えて、抜いた跡地に大きな穴を掘り、レンガで囲って土を良い土に入れ替えてと・・・

・・・などと言う具合に、次から次から計画を立て続けるうちの母。
ちなみに母は、ブルジョアなキャリアウーマンなので、肉体労働は苦手である。
肉体労働などというのは、家に居候しているプーのプロレタリアートにやらせようと言うので、ハーブ園の拡張事業がコチラに回ってきた。
そうして虚弱体質のA型プロレタリアートが作業を始めたのだが、何せ作業が遅いらしく、

「もう、そんなにきっちりせんでいいって!」

と、キレられることしばしば。
そんなこんなで大混乱の中、ようやっと拡張作業が終わったので、樫の木のそばで物思いにふけっているうちの母に報告に行くと・・・

「ココもさ、植えられると思うんよね・・・」

私がノロノロと作業している間に、またしてもひらめいてしまったらしかった。

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