【逆通貨防衛】 スイス国立銀行の無制限介入
スイス国立銀行の無制限介入とは?
2011年9月6日の発表から始まった、スイスの中央銀行(スイス国立銀行)の大規模な為替介入のこと。
文字通り 『 無制限 』 に 『 為替介入 』 すること。
介入資金の金額とか(゚ε゚) キニシナイ!
期限?なにそれ美味しいの?
『 ○○年○○月まで為替介入を続ける 』とか言ってもらえると思うなよ!ヾ(〃゚∀゚)┏θ_◇.:;ガシャン
中央銀行の資産の劣化?
んなもん知らんな。( ´,_ゝ`)プッ
なぜスイス国立銀行は無制限介入を行ったのか?
2008年、世界的な経済金融危機だったリーマン・ショックが発生。
元々屋台骨はグラグラだったユーロが本格的にグラグラし始めた。
特に、ヨーロッパの PIGS (ポルトガル・イタリア・ギリシャ・スペイン) と呼ばれる国々は、破綻一歩手前の危機的な状態に陥った。
そこで、安全資産として人気のあったユーロから人が離れ、安全資産とされる日本円やスイスフランへと資本が雪崩れ込んだ。
ドルは基軸通貨であったものの、震源地な上に異次元的な金融緩和をしまくりなだけあって、ドル高になることはなかった。
世界中にあふれる資本がスイスフランと円に向かったのだから、当の向かわれた国々はたまらない。
自国産業を守るため、2011年9月6日、ついにスイスの中央銀行であるスイス国立銀行は為替介入をすることを決定した。
スイス国立銀行の無制限介入では何が行われたか?
ユーロに対して、スイスフランを1.2スイスフラン以下に抑える(上限を1.2にする)為替介入。
為替介入によって、これよりスイスフランが上昇するのを防いだ。
無制限介入では、スイスフランがユーロに対して上昇するのを防ぐだけが行われた。
スイスフランが値下がりしすぎたらどうするかについては言及されていない。
スイスフランがユーロに対して1.20スイスフランを突破
↓
スイス国立銀行が1.20スイスフランになるよう、スイスフランを売って、ユーロを買う介入を行う
↓
1.20スイスフランで上昇が抑えられる \(^o^)/
スイス国立銀行の無制限介入の余波
スイスフランへの為替介入はユーロに対して行われたが、何故か日本円もとばっちりを受けた。
スイス円の相場では、急激で猛烈な円高が進んだ。
FXで 『 スイスフラン/円 』 や 『 スイスフラン/ユーロ 』 の相場を張っていた日本の相場参加者も、この円高の渦の中でもみくちゃにされた。
(大損どころか借金生活突入確定で阿鼻叫喚か、家が買えるほどの巨額の利益を得るかの両極端になった)
スイス国立銀行の無制限為替介入の結果
数年にも及ぶスイスの中央銀行の行った無制限為替介入の結果は以下の通り。
スイス国立銀行は為替介入しまくったので、外貨準備が膨れ上がった
中央銀行が為替介入すると、大量の相手国の通貨が手に入る。
通常、その通貨はそのまま寝かせず、国債などを購入して寝かせる。
こうやって得た寝かせ中の国債などのことを 『 外貨準備 』 と言う。
でもそのせいで、スイス中銀には大量のユーロ国債などの外貨準備が溜まっていった。
為替介入で得た外貨準備がスイス国立銀行自身を苦しめた
中央銀行が為替介入で得た外貨準備の額が膨れ上がってくると、為替の影響で資産が上下してしまい、最悪の場合、債務超過に陥ってしまう。
スイスの中央銀行は一瞬だけ債務超過に陥ってしまったようだが、為替介入を続けていた場合、さらに酷い結果になっていたかもしれない。
デフレが改善しなかった
通貨安だと輸入品価格が上昇して国産品が買われやすくなるし、輸出競争力がUPしたりするもので、通貨高の国と比べると雇用状態が良くなりやすい。
雇用が改善すると給料を得た人々が消費するので、デフレを脱却しやすい。
しかし、スイスの場合はデフレの脱却はなかった。
しかも、この無制限介入をやめた後、スイスフラン高がさらに悪化してしまったので、結局、元の木阿弥状態になってしまった。
無制限為替介入をやめたスイス国立銀行
上で書いたように、スイス国立銀行は無制限の為替介入で大量の外貨準備を抱え込むようになった。
スイス国民は、スイス国立銀行がそうやって大量の外貨準備を抱え込み、債務超過の恐れが出てきたことについて不安がるようになった。
そして、スイス国立銀行はそのスイス国民の声に応える形で為替介入をやめてしまった。
そして、それはまた新たな阿鼻叫喚の世界を生み出すことになった。
通貨高の負の連鎖を断ち切るには
このようなスイス国立銀行のような例は、極度の通貨高に苦しむ先進国の共通の悩みなのではないかと思う。
そして、スイスの例でも分かるように、為替介入では通貨高のトレンドを変更することはできない。
日本も同様に過剰な通貨高に苦しんでいる国の一つだが、これを解消するための何かしら新しい方法が必要なのではないかと思う。
通貨高を解消する方法(案)
あくまでも個人的な案。
ほとんどの案で、後々強い毒にやられる可能性が高いので、本当に導入してしまう場合には、かなり注意が必要なのではないかと思う。
大規模な金融緩和
(スイス・日本型(金融緩和が息切れ))
かなりのマイナス幅のマイナス金利を導入する
(スイス・日本型(まだマイナス幅が足りない))
大量の移民の受け入れを行い、国内にインフレを起こす
(アメリカ・ブラジル・ヨーロッパ型)
財政破綻を起こし、通貨の信用を失わせる
(ロシア・韓国型)
信用不安がある国も混ぜた地域通貨を作り、その通貨に切り替える
(ユーロ型)
広告