黒田バズーカ2(日銀の追加の金融緩和)の世界の株価と為替への影響
2014年10月31日、日銀は金融政策決定会合で追加の金融緩和を決めた。
この追加の金融緩和を予想出来ていた人が少なかっただけに、為替や株価への衝撃は大きかった。
さらに、年金が国債への投資比率を引き下げて、株などのリスク資産への投資を大幅に拡大することも買い材料になった。
(目標とするインフレ率を達成してしまうと、国債はマイナス金利状態になりやすいので、国債に投資し続けると、結果的に資産が目減りしてしまう)
日本市場
黒田バズーカ2の震源地の日本株は大暴騰。
日経平均 | 755.56 | 4.83% |
TOPIX | 54.74 | 4.28% |
ジャスダック | 1.26 | 1.26% |
アジア市場
アジア株は一部市場で大幅高。
しかし、一部の国では前日比ほぼ変わらず。
香港ハンセン | 296.02 | 1.25% |
上海総合 | 29.10 | 1.22% |
韓国 | 5.50 | 0.28% |
台湾 | 86.69 | 0.98% |
オーストラリア | 47.90 | 0.88% |
ニュージーランド | 17.65 | 0.33% |
インドネシア | 30.70 | 0.61% |
マレーシア | 12.37 | 0.67% |
シンガポール | 39.94 | 1.23% |
インド | 519.50 | 1.90% |
欧州市場
アジア株は高安まちまちだったが、欧州株は大幅高一辺倒だった。
イギリス | 82.92 | 1.28% |
ドイツ | 212.03 | 2.33% |
フランス | 91.85 | 2.22% |
スイス | 118.75 | 1.36% |
オーストリア | 22.41 | 1.02% |
ベルギー | 86.80 | 2.82% |
オランダ | 6.54 | 1.62% |
イタリア | 589.38 | 3.07% |
北米・南米ともに概ね好調だった。
特にアメリカ市場では、日本の年金基金が株式投資比率を増やすとの情報が伝わり、それがアメリカ株の上昇に繋がるとの思惑が出て大幅上昇した。
アメリカ市場
アメリカ NYダウ | 195.10 | 1.13% |
アメリカ ナスダック | 64.60 | 1.41% |
カナダ | 154.63 | 1.07% |
メキシコ | 428.25 | 0.96% |
ブラジル | 2,291.77 | 4.38% |
アルゼンチン | 479.99 | 4.55% |
黒田バズーカ2前には、FRBが大規模金融緩和を終了させることが決定していた。
これにより、日本が円安になりやすい地盤はできていた。
その為、黒田バズーカ2発射後は、円は対ドル・対ユーロに対して急落した。
それに伴い株価が大幅高になった。
このところの円安と株高に加え、黒田バズーカ2当日の円の急落と株の高騰により、空売り・先物の売り・為替の円買いなど、ハイリスクな投資が刈られた形になった。
また、日経先物は、現物株の市場が閉じた後も上昇し続けたため、先物市場のナイトで調整するだろうと思っていた投資家が刈られる結果になった。
この他、あまりにも株の上昇(円の下落)が急ピッチだったため、もう上昇は終わりだろうと予想していた投資家による株のドテン売り(円のドテン買い)が刈られる形になった。
【日経平均・最大の上昇額】
1990年10月2日
+2,676.55円
終値22,898.41円
(+13.24%)
バブル崩壊間際の日本株市場。
リバウンドと政府の株価対策を受けて爆上げした。
しかしその後、バブル崩壊で下げトレンド入りしてしまった。
【日経平均・最大の上昇率】
2008年10月14日
+14.15%
終値9,447.57円
(+1,171.14円)
リーマン・ショックで爆下げした後のリバウンド上げ。
G7の金融危機対策を受けて上昇。
しかし、これもリーマン・ショック発生直後の一時的なリバウンドの上昇だった。
日本は月曜日は祝日だったので、翌週始めの(月曜日)日本市場は休みだった。
しかし、為替や先物相場は動いていたので、FXや先物を商っている人の中には、大きな利益や損失を出した人もいた。
翌月曜日の海外市場では、日銀が追加金融緩和を決めた先週金曜日の上げとは反対に、下げている国が目立った。
為替(円相場)は更に続落し、一時114円をつけた。
それを受け、月曜日の日経平均先物は大幅高。
先週末の金曜日の日経平均の終値が16,413円だったので、日経平均の先物は900円近い上昇をしていた。
日経平均の先物の売り建てを持っている人の中には、三連休の間に不足金が発生したり、ロスカットを余儀なくされた人もいた。
黒田バズーカのせいで日銀が国債一人買い占め状態に陥っている件
黒田バズーカ1と2で、日銀の持っている国債の額がものすごいことになってきた。
2015年9月末時点で日銀の保有している国債などの額は315兆円。
発行された国債の3割が日銀が持っている計算になる。
これに、GPIFが持っている国債の額を合わせると、何と6割程度が日銀と年金によりキープされている計算になる。
銀行だって国債が欲しくてたまらないため、銀行と年金と日銀で国債の買い取り合戦状態になってしまった。
(残存期間3年以下の国債利回りはマイナス金利が常態化)
2015年9月末 日銀の保有比率 |
315兆円 187.1兆円増 発行残高の30.3% |
2013年3月末 日銀の保有比率 (アベクロ異次元緩和前) |
発行残高の13.2% |
2015年9月末 銀行・証券などの保有比率 (銀行・証券などの保有は109.5兆円減) |
28.4% |
2013年3月末 銀行・証券などの保有比率 (アベクロ異次元緩和前) |
42.4% |
日本の国債市場
日銀が主役・外国人が準主役・その他諸々の国債の買い方は蚊帳の外状態。
国内の民間金融機関の国債市場離れ
(短中期債の荒い値動きや金利の適正水準からの大幅乖離)
2016年時点での問題点
追加で金融緩和をしたのは良いものの、金融緩和をするための国債が足りなくなってきた。
2016年はこれが問題になり、日銀の金融緩和が限界に達したとの見方が台頭し、円高・株安の原因になった。
- 政府の国債発行額は減る見通し
- 札割れが生じるには4〜5年はかかる見通しだが、早ければ2017年後半にも札割れする可能性もある
- 年80兆円は15年度の新規財源債の2倍を上回る。
金融緩和の継続をするために変更すること
金融緩和の対象となる金融資産を増やした。
ただし、国債と比べると買入れできる額が少ないので、金融緩和の効果も限定的。
- 購入する国債の平均年限を長期化させる
- ETFの買い入れ額を増やす
- 民間の金融資産に買い入れ対象を拡大する
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