【吸収】 為替介入の不胎化について 【放置】
通貨が他所の国と比較して著しく高くなってしまった場合、輸入品の価格低下によって競争力が低下するため、輸出産業や国内産業にダメージが加わりやすくなります。
そこで、過度な自国通貨が通貨高に陥った場合、為替介入が行われることがあります。
その際、こんなニュースが流れることがあります。
『今回の為替介入では不胎化を・・・』
この『不胎化』とは一体何なんでしょう。
為替介入をするとき、お札をすることのできる中央銀行が資金を出し、そのお金で為替介入(自国通貨を売却して他所の通貨を購入し、自国通貨の価値を下げる)をしたとします。
すると、その分通貨の総量が増えてしまいますので、インフレが起こりやすくなります。
:: 例1 ::
1兆円のお金が国内に流通
↓
1兆円のお金を発行して為替介入
↓
国内に2兆円のお金が流通 (通貨の量が増える)
※ 注意1 ※
不胎化をしなければ理論的にはインフレになりやすくなりますが、消費者がボンビーでお金が無いために消費が伸び悩んだり、非常に安価な輸入品が売られて物の値段が上がらないなど、インフレにならない場合もあります。
でもこのとき、介入に使った資金分のお金を市場から吸い上げたらどうなるでしょうか?
今度は通貨の量が前と同じになり、インフレになりにくくなります。
このことを不胎化と言います。
:: 例2 ::
1兆円のお金が国内に流通
↓
1兆円のお金を発行して為替介入
↓
1兆円のお金を市場から吸収
↓
国内に1兆円のお金が流通 (通貨の量は変わらない)
この不胎化とは逆に、通貨を吸収しないで放置プレーにすることを『非不胎化』と言います。
(普通に、『不胎化しない』でええやんとか言うのはなしで・・・。^^;)
ところで、非不胎化の為替介入ですが、先程は『新たに通貨を発行して』と書きましたが、通貨を市場から集めて(為替介入用の資金を国内の皆さんに投資してもらって)為替介入をした場合は、普通は不胎化をしなくても、インフレにはなりにくいです。
(自国通貨が介入後に暴落しなければ)
※ 注意2 ※
理論的には市場からお金を集めて為替介入をした場合はインフレにはなりにくいですが、為替介入によって通貨の価値が下落して、輸入品の価格が上がることで国産品が売れるようになり、国内の雇用が改善して、雇用が改善することで消費がアップし、その結果としてインフレになるということはありえますので、市場から介入用の資金を集めて介入したからと言って、必ずしもインフレが起きないということではありません。
と言うわけで、輸入関連銘柄を買おうとされていたり(売り建てしようとしていたり)、FXや外貨預金をされておられる方は、介入資金がどうやって調達されたのか、また介入後は不胎化をしたのかどうかをチェックされると無難かと思います。
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