裁定解消取引について
株をやっていると、急に先物主導で下げ始めたりして、結局現物株も下がってしまい、悲しい思いをされた方も多いかと思います。
そんなときにNIKKEI NETなどを見ると、裁定解消売りが出たために先物主導で下げ、それを嫌気した外国人投資家が利益確定売りを・・・などという一文が頻繁に出てくるかと思います。では、裁定取り引きとは一体何なんでしょう?
先物と現物の価格について
現物株の個々の取り引きでは、銘柄に惚れ込んで買う人や、銘柄に見切りをつけて売る人や、裁定取引をする人など様々なケースがあり、その多数の株価を元に、日経平均やTOPIXが割り出されます。
そして、先物の相場も、裁定取引をする人、先物の割安感から買いに走る人や売る人など様々な人が居ますので、常にバラつきがあります。
裁定取引について
普段の日は、先物の価格と現物株の価格が乖離することもしばしばあります。 しかし、そんな先物の価格と現物価格が一瞬だけ同じになる日があります。それは先物の精算日(SQの日)です。この精算日に向けて、先物と株価は理論価格に修練して行きます。
先物の理論価格
理論ベーシス
= 株価指数(日経平均株価)×{(金利−配当利回り)×SQまでの残存日数÷365}
先物理論価格
= 現物価格(日経平均株価)+理論ベーシス
ですので、大きく日経平均と日経平均の先物が乖離した場合は、裁定取引をいれておき、SQの日やSQ近くの日に先物と現物株の価格が理論価格に近くなったところで、反対売買を行うのです。
裁定取り引きには先物を売って現物を買う裁定買いと、先物を買って現物を売る裁定売りがあります。いずれの取り引きも、SQの日にはロールオーバーをして持ち越すか、SQの日に反対売買をして精算するか、SQのの日の前日までに反対売買をして精算するか、しなければなりません。
通常は、上げ相場の時にはどんどんと裁定取引を積み上げていき、下げ相場のときはどんどんと裁定取引を解消していくようです。
裁定解消売りについて
普通は、裁定買いを入れた場合は、SQまでそのポジションを持ち続け、買い増しを続けますが、さや取りが早く実現できそうな場合、証券会社は利食いをしてくるようで、そのときに裁定解消売りが起こるようです。
通常、相場の先高感がある場合は、裁定解消売りは出てこないようです。・・・というのも、相場の先高感から先物が買われますので、SQ近くまで清算をしないほうが有利だからです。
ところが、先安感が台頭してきますと、先物の方が安くなり逆ザヤの状態になります。そうなると、証券会社はSQを待たずに裁定解消の反対売買をします。
それで、先物は買われ、現物が売られるのです。
これが現物株の相場では、日経平均採用銘柄の株が売られる・・・という状態になって現れてきます。ただし、ここで注意が必要なのは、先安感が広がって、買い板が重くなってきたときに、この反対売買が、相場の下降トレンドをさらに加速させることがある・・・ということです。
最後に、SQの期日が近いときも相場の流れに関係ないところから、散発的な売りが出ますので、買いを手控える動きが強くなるようです。
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