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【デフレ】 有事の円の原因について 【金融緩和】

有事(世界的な経済危機・大災害)などが起こった時でも持っておきたい通貨、すごく安心で信用力の高い通貨のことを『有事の○○』と言います。
信用力が高い通貨ですので、有事のような大変な時でも決済が容易ですし、物の輸出入もその通貨で行えるなど、特典たっぷりです。

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有事の円の利点

1. 有事が起こっても物を輸入できる
今は、決済に使われているドルが機能していますので、あまり考えなくてもよいかもです。

2. 決済通貨として利用されやすい
自国通貨で取引できるので、為替差損が発生しにくいです。

3. 大震災などで資源の輸入が必要なときに安くで調達できる
円安時よりも、円高の方が何割か安くで資源を輸入できます。
ただし、円高だと輸出の伸びは落ちますので、差し引きゼロといったところなのかもです。

4. 国の信用があると思われている
一般的には、通貨が高い国のほうが、通貨が安い国よりも信用力があります。
ですので、通貨が高いほうが名誉だったりします。
あと、信用力が高いと円での直取引をしてもらいやすくなるので、為替差損が発生しにくいのも利点です。


このため、本来は『有事の○○』と言うのはとても良いことなのですが、現在ではあまり良いことでなくなってしまっています。それは何故でしょうか?


1. まだ決済通貨であるドルがちゃんと機能しているため
原油などを購入する際に使われる決済用の通貨のドル価値の低下が著しくはありますが(ドル安)、まだ通用はしていますので、有事の○○にならなくとも、経済・金融危機などで自国通貨が紙くずになっている国を除いては、ちゃんと輸出入できます。


2. 輸出競争力が極端に落ちてしまうため
特に、競合している分野での輸出競争力が落ちやすいです。
輸出競争力が落ちたら、生産拠点が海外に移りやすくなります。


3. 輸入品が安くなりすぎて、自国産業がダメージを受けるため
海外から猛烈に安い商品が大量に入ってくると、自国で似たようなものを作っている企業はすごく不利になり、廃業や海外移転に追い込まれやすくなります。


4. 雇用が減少しやすくなる
輸入が増え輸出が減りますので、自国で物を作らなくても良くなります。
この場合、雇用が減ってしまい、不況・不景気になりやすくなります。

このように、いくつもの不利なことが 『有事の○○』 には起こりやすくなります。
金本位制をとっている場合は、確かに有事の○○の方が良かったです。
(通貨が安くなりすぎると国内の金(金塊)が流出してしまうため)

でも、もうすでに金本位制をとっている国はないですし、それをやってしまうと自国の製造業や観光業などにとって良くないので、どこの国もやりたがりません。

なので、現代では有事の○○が不在(日本円を除く)の状態になってしまっているように思います。
(日本円も有事の○○から抜けてしまうと、有事の○○になるものがなくなってしまいますので、有事の金、有事の不動産、有事の資源など、現物資産の方に資金の避難先が向かってしまうように思います)


有事の円になってしまっている理由

というわけで、有事の円になってしまっている理由について、ちょっと考えてみました。


1. 円のほうが他所の通貨と比べて、実質的な金利が高くなってしまうため
いくら金利が高くても、金利よりもインフレ率が高いと、お金を銀行に預入れしていると損してしまいます。
例えば、日本の金利が5%もあったとします。
なので、100万円銀行に預金していたら、5万円の利子が貰えます。

その一方、インフレ率が10%あったとします。
去年は100万円で買えた土地が、今年は110万円しないと買えません。
ですので、5万円の利子が増えた所で、損してる計算になります。


金利     5%
利子     5万円
インフレ率  10%
土地価格  100万円 → 110万円(利子ぶんをプラスしても買えない)


一方、日本の金利が0%だったとします。
いくら預けていても利子は貰えません。
でも、デフレ状態でインフレ率がマイナス5%だったらどうでしょう?
去年は100万円した土地が今年は90万円で購入できます。


金利     0%
利子     0円
インフレ率 −5%
土地価格   100万円 → 90万円(利子が無くても買える)


こうなると、利子は貰えなくても得した計算になります。
なので、実質的な金利が高いほうが、より通貨が高くなりやすいです。
(恒常的な円高の理由の一つ)

しかも、この上にさらに経済危機などで他所の国が景気が悪くなったとします。
すると、投資家はより安全な国債に投資します。
国債は買われれば買われるほど価格が上がり、金利が下がります。

そして、その国債の金利は長期金利の目安にされていますので、国債の金利が下がってしまうと一般の預金の金利も下落しやすくなります。

もちろん、日本のようなゼロ金利の国も金利を下げたいのは山々なのですが、日本はもう金利を下げることができませんので、日本円の価値は他所のインフレの国よりもさらに高くなり、より一層の円高になりやすくなります。


恒常的に円高・デフレ
   ↓
経済危機などの有事
   ↓
他所の国の金利が下がってしまう
   ↓
ゼロ金利でこれ以上金利を下げることができない円は、価値が急上昇
   ↓
円高がさらに進行 \(^o^)/


2. 国内にロクな投資先がない
通常、有事になれば金融機関の資金需要がUPします。
(工場・高額機器などの破損・貸出先企業の倒産など)

ですので、中央銀行は緊急に各金融機関に資金を貸し出します。
これが金融緩和の効果を生み、通貨安の原因の一つになります。

でも、元々国内に投資されていなければ、有事があっても資金需要が起こりません。
(資金が足りなくなることが起こりにくいです)


投資&貸出がちゃんとされている国

有事発生(世界的な経済金融危機・大災害など)
   ↓
国内の金融機関が貸し出していたお金が回収不能の危機
   ↓
国内の金融機関の体力が大幅に減少して瀕死
   ↓
中央銀行が国内の金融機関の持っている国債を買い取って、資金を渡す
   ↓
国内の金融機関の体力が回復
   ↓
市中に出回るお金が増える
   ↓
通貨安になる


投資&貸出がちゃんとされていない国

有事発生(世界的な経済金融危機・大災害など)
   ↓
国内の金融機関はお金を貸し出していないのでダメージ小
   ↓
日銀が国内の金融機関の持っている国債を買い取って、資金を渡そうとする
   ↓
国内の金融機関は要らないので断る
   ↓
市中に出回るお金は増えない
   ↓
通貨安にならない


3. 主に海外にばかり投資をしている
大震災などの国内に有事が起こると、資金需要が発生しやすくなります。
そんな時、海外にある資産を売って円に換金して資金需要を満たしてしまうと、さらに円高になりやすくなります。

この原因は、日本が恒常的に通貨高で、しかもデフレなので投資しにくくなっていたからです。
(日本に工場を作っても、通貨高の日本で生産されたものは価格競争力がないし、海外からの観光客が通貨高で日本への旅行を敬遠するために観光業も魅力がない上に、デフレ状態のままなので、通貨高が解消されそうにないため)

東北大震災の時には、損保会社は資金調達のために海外資産を取り崩し、それを見た投資家が円に投資して利益を得ようとしたため、さらに円高を加速する原因になりました。


4. 日本は借金も多いが、持っている債権も多い
日本は借金の額も多いですが、実は、債権(貸し出しているお金)の額も多いです。
ですので、意外と信用力が高いです。


5. 海外のほうが問題が深刻な場合がある
特に、各国が中央銀行を持つことができず、一つの中央銀行しかないユーロ圏は深刻だったりします。
ユーロはこんな状態ですので、破綻しそうな国が出ると道連れが出やすく、一刻一刻で分離独立している国よりも、影響が大きく出てしまいます。

そんなわけで、有事の円がすっかり定着してしまい、『何か起これば、とりあえず円を買っておけば無問題』 と言う状態になってしまったのでした。


有事の円が継続すると起こる可能性のあること

1. 輸出競争力が落ちたり、輸入品との価格競争で負けたり、観光業に打撃
特に競合している分野で輸出競争力が落ちやすいです。
輸入品も安くで調達できるので、輸出品との価格競争にも負けやすいです。

2. 生産拠点が海外に移ったり、国内産業が苦境に立たされる
1の状態が続くと、生産拠点が海外に移ることで、雇用、投資、税収が減り、産業が空洞化しやすいです。
恒常的にこれが続くと、さらに別の問題も発生しやすくなります。

3. 貿易赤字になる
2の状態が続くと、産業が空洞化してしまい、輸出は激減。
それなのに、資源の輸入はガンガンしていると貿易赤字が深刻になります。

4. 円安になる
3の状態が続くと、通貨の価値や国の信用が落ちてしまうタイプの悪性の円安が起こります。
産業が空洞化しきってしまっている状態だと、円安になっても輸出品が増えることによる国力や円の回復も起こりにくいです。

5. インフレになる
4の状態が続くと、円安によって輸入品が高くなってしまいます。
そして、輸入品を中心に悪性のインフレが起こりやすくなります。


アベノミクスで有事の円は改善できるか?

アベノミクスとは、金融緩和景気対策投資を促進させる政策を行い、緩やかな2%程度のインフレ人工的に作り出し、デフレ脱却&不況から脱出することです。
(デフレ脱却できますので、副産物として円安になりやすくなります)
これにより、有事の円は改善されやすくなるように思います。


1. 円高是正
内外の投資資金が日本国内に向かいやすくなります。
そのため、雇用が生まれ、いろいろな分野で活気が出てきます。
円が下がると、観光業にとっても良い効果が生まれます。

2. 日本国内への投資が増える
輸出競争力、輸入品との価格競争力、観光業の価格競争力がUPするため、投資されやすくなります。
それらの産業が活発に景気よくなると、雇用もUPします。

3. 適度のインフレ
余剰金を貯金しておくとインフレで損をし続けてしまうため、現物資産への投資や外貨投資などに切り替える動きが加速します。(インフレ傾向になる、投資が促進される、円安傾向になる)

4. 輸出が戻りやすくなる
輸出競争力が戻り、日本の工場で生産すれば儲けやすくなりますので、日本への投資が更に増えやすくなります。(生産拠点の増加)


↓↓↓ 有事(大災害)が発生 ↓↓↓

国内の金融機関に資金需要が出る
   ↓
日銀が国債を買い取って資金提供する
   ↓
金融緩和状態になる
   ↓
有事の円高になりにくくなる


↓↓↓ 有事(世界的な経済危機)が発生 ↓↓↓

ゼロ金利発動
   ↓
インフレ率が2%なので、マイナス金利状態になる
   ↓
お金を借りた方が有利で、預けていたほうが不利になる
   ↓
(諸外国の金利とインフレ率にもよるが)円高になりにくくなる


と言う状態になるのではないかと思います。
ちなみに、これが継続すると、国内の産業が空洞化して円安&インフレ、国の信用が低下してドボンとか言うことが起こりにくくなります。

また、緩やかなインフレインフレで物価は徐々に上昇して行きますが、スタグフレーションは回避されますので、極端な物価の上昇が抑えられます。


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