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【金貨の危機】 紙幣の台頭

アジアでは元の時代に紙幣が使われていましたが、ヨーロッパで紙幣が出回るのはもっと後になりました。使用されるお金は金貨(高価な買い物の際)が主だったので、なかなか紙幣は出回らなかったのです。しかしながらその影で、商人達が「手形」を発行することで、着々と紙幣への基礎が築かれていきました。

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【手形】 便利なシステム

手形とは、「約束手形」として現在の日本でも存在していますが、昔のヨーロッパでも「手形」のシステムは存在していたのです。つまり・・・


肉屋さん
 ↓ (洋服を購入し、手形を発行)
洋服屋さん
 ↓ (野菜を購入し、手形を八百屋さんに渡す)
八百屋さん
 ↓ (お酒を購入し、手形を酒屋さんに渡す)
酒屋さん
 ↓ (手形を渡し、お金を受け取る)
手形仲介業者
 ↓ (肉屋さんから手形分の代金を受けとる)
肉屋さん


このようにして、あちらこちらで商品の売買の際に、手形が利用されたのでした。
この手形の受け渡しの利点は、お互いの欲しい物を物々交換するよりも売買のチャンスが増えるということと、お金の支払いの為にわざわざ旅に出ることが無くなったということです。

特に地続きのヨーロッパでは多国間で様々なものの売買がありましたので、この「手形」の取引システムは、非常に有利だったわけです。

以下の文章は、 ゴールド 金と人間の文明史 主税 (翻訳) 出版社:日本経済新聞社)より転載しました。


こうした市場では、本人ではなく仲介人が手形を買い、それぞれの取引の差額を調整する。商品の供給者に前もって支払いをし、追って商品の購入者から代金を回収するという点では、仲介人は銀行家の役割も果たしていた。総額ではなく差額の支払いをし、各種の取引を一つにまとめて、そこに多数の仲買人を参加させる手形市場が登場したことで、相互の差異をならすという目的での硬貨の必要性は薄れていった。


中略


商売はどんどん多角化し、その延長として、この時代に成長した同属経営の大財閥が出現した。
新生ローマ帝国のフッガー家、フィレンツェのメディチ家、そして後のロスチャイルド家やベアリング兄弟もこの系譜に連なる。


【民間の紙幣がいっぱい】 紙幣の乱発

先ほどのような「手形」システムがドンドン成熟していくと、今度は己で手形を発行する「銀行」のシステムが発展し始めました。そうやって生まれた銀行は、貸付金を「約束手形」として渡していました。その「約束手形」は、貨幣として金貨と共に市中を流通していました。

また、銀行が国にお金を貸す際に、「銀行券」という形で国に貸し付けられたわけですが、それも同時に市中に流通していたのです。(イングランド銀行の発行する「銀行券」は、イングランド銀行に持って行けば、必ず金と交換してもらえるという信頼感があったので、その当時の人々は安心してイングランド銀行券を使用していたそうです)

そして、こうやって生まれた貨幣の増加分は、そのまま貯蓄されていったのでした。
しかし、金価格が上昇してしまうと、金貨の値段よりも金の値段の方が高くなってしまうので、金貨は実際の値段よりも高く取引されるようになってしまいました。さらにはインフレが問題になってきました。

それまでは、金が無ければ金貨が作れず、作れる金貨の量が限られていたので、市中に流れる通貨の量はさほど増えなかったのですが、紙幣が世に出回ることで、資金がジャブジャブになり、慢性的なインフレを招いてしまうようになったのでした。

その為、イングランド銀行からフランスへと金が流出した件もあり、イングランド銀行は、金への兌換を一時的に停止したのでした。
その後、金の量に比べて通貨の発行額が余りにも大きいことが経済の混乱の元になっているとして、「金本位制」を布いて、しっかりと通貨の量をコントロールするように、自己管理し始めたのでした。


【通貨の量をコントロール】 金本位制とは?

「金本位制」とは、その国の「金」の持分に応じて、通貨の発行量をコントロールしよう・・・という制度です。国が保有する金の量に比べて、明らかに通貨の量がジャブジャブですと、その国の物価は高騰し、金価格も上昇し、他国と比べると通貨の価値が下落してしまい、最悪の場合、金と紙幣を交換することすら困難になります。そこで、「金本位制」の中での紙幣の発行が行われることとなったのでした。

上の文章では、民間銀行による紙幣の乱発について述べていましたが、現在紙幣は、中央銀行のみが発行することが許されています。

つまり通貨の量をコントロールできるのは、中央銀行のみ・・・という事になります。
現在では金本位制を取っている国はあまりありませんが、それでも各国の中央銀行が、しっかりと通貨をコントロールしていることを考えると、さほど不安がる必要も無いような気がします。
(○○○○という国を除いては・・・ですが・・・)

日本では「日本銀行」のみが、通貨を発行することを許されています。
民間銀行が好き勝手に「銀行券」を発行して、経済が混乱していた時代のことを考えますと、現在はかなり通貨に関するシステムが整えられてきたように思います。


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